Robloxに忍び寄る、性的犯罪者からの脅威
- 2024年9月7日
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Robloxの特徴といえば、何と言っても「ユーザーの年齢層の低さ」でしょう。2024年度のQ2では、デイリーアクティブユーザーのうち41%が13歳以下となっています。ユーザー増加と共にその割合は減り続けていますが、それでもユーザーの40%超を13歳以下が占めるソーシャルプラットフォームは、世界全体を見渡しても他に例がありません(Demangsage)。
しかし、それ故に見過ごせないリスクも発生しています。それは、Robloxに潜む悪意ある大人によって、メインユーザーである子ども達の安全性が脅かされている、ということです。
Robloxで実際に発生した性犯罪
ブルームバーグ・ビジネスウィークがまとめたデータによると、2018年以降、米国の警察は、Robloxを使って知り合った被害者を誘拐または虐待した罪に問われている少なくとも20数人を逮捕しています。その中には、すでに性犯罪者登録に登録されていたり、未成年者虐待で訴えられたことのある者もおり、保安官代理や3年生の教師、看護師もいました。Robloxで一緒に遊んだティーンを誘拐しようとしたとして起訴されたフロリダの男、同プラットフォームで知り合ったニュージャージー州の11歳の少女を誘拐した罪で起訴された男、同じくRobloxで知り合った子供を虐待したとされるカリフォルニア州の男など、過去13カ月だけで7人の逮捕者が出ています(Bloomberg)。
DocというRobloxのユーザーは、ゲーム「ソニック・エクリプス・オンライン」の開発者・設計者でした。彼の作ったゲームはとても人気で、子ども達は毎週のお小遣いで仮想通貨Robuxを購入し、コスチュームやよりクールなアバターを買っていました。Docはその人気から、Robloxで最も高給取りの開発者の一人だと主張し、チャットアプリのDiscordで自分のコミュニティに自慢していたそうです。彼の投稿はエスカレートしていき、次第にレイプに関するジョークまで投稿するようになりました。その投稿に嫌気を感じた他のゲームユーザーが、Docの正体を突き止めようと調査を開始。それをきっかけにRoblox社もDocの存在を問題視し、Docのアカウントを停止しました。しかし実際のところ、彼はソニック・エクリプス・オンラインの所有権を友人に譲っていたため、FBIもDocの行方をすぐにつかむことはできなかったそうです。結局2022年の春まで彼の行方を追う調査は続き、最後にはDocはインターネットから姿を消したが、その数カ月後にFBIによって逮捕され、事件に幕がおりました。
これ以外にも、Robloxでアバターがレイプされたという事件も起きています。ある日、7歳の小学生女児がお母さんにゲーム画面を見せて、画面上で何が起きたのかと尋ねてきたそうです。それは「娘が操作するアバターを2体の男性型アバターが攻撃している」光景であり、まさにRoblox内での性暴力そのものだったとのこと。そのスクリーンショットには、男性器を示すゲーム上の物体も含まれており、お母さんはFaceboookへの投稿でこの出来事に「多くの面で精神的ショックを受けた」と述べています。
Roblox社は、この行為を行ったプレイヤーを接続禁止にしたそうです。
これらは実際に発生した事件ですが、それが更に増えるであろう予兆を示す機能や数字はすでに見えています。
例えば、2023年9月に発表されたRoblox Connectという機能を使うと、Roblox上でフレンドとビデオ通話をすることができます。アバターを操作しているユーザーの顔をカメラで読み取り、表情をアバターに反映させます。それは没入感を高める一方で、悪意あるユーザーと子どもの距離を不用意に近づけてしまうリスクでもあります。
子どものユーザーが性的な脅威に脅かされたという報告は2023年に13000回以上で、2022年に比べると5倍程度に増えています(Bloomberg)。
Roblox社による安全性対策
もちろん、この問題に対してRoblox社は様々な対策を講じています。
例えば、Robloxで運用されているモデレーションシステムはすべてのチャットやあらゆるデジタルコンテンツをスキャンし、不適切な単語を削除したり、プレイヤーが画像を送信できないようにしています。何か問題が起きれば、1分以内に介入することもできます。Robloxによると、プラットフォーム上のコンテンツでフラグ付けされているのは0.0063% ほどということです(PocketGamer)。
他にも、Roblox以外のSNSやゲームプラットフォームでハラスメント行為を起こしたユーザーのアカウントを停止するポリシーも存在します。さらに今後、その運用を自動化するための技術開発を行うことも公言しています。
また、オンラインでの安全性についてのリテラシー教育を行うことも重視しており、教育用ビデオを作成し学校へ配布しています。そのビデオでは、「Robloxで誰かのボーイフレンドやガールフレンドになりたいと言われた時の対処法」や「無料のRobuxをあげるから悪いことを手伝って欲しいと言われた時の対処法」など、よく起こる問題行為に対する具体的な対応方法が解説されています。
教育機関だけでなく、保護者向けにも安全性に関する様々なコンテンツが提供されています。Robloxのウェブサイト上では、「親と保護者のためのRobloxガイド」や「デジタル時代の子育て:幼い子ども達」といった安全性に関するドキュメントが公開されています。また、子どもが他のユーザーとチャットするのを制御したり、子どもがアクセスできるワールド自体を制限するペアレンタルコントロール機能も搭載されています。
しかし、トルコ政府はRobloxによる安全性対策が不十分と判断し、24年8月から暫定的にRobloxへのアクセスを禁止しています。Robloxは同国政府に対して抗議を行なっているものの、さらなる対策が求められることになりそうです。
Robloxは、その自由度の高さや独自のゲーム内通貨の存在もあることから、「社会性を学ぶ場所として最適」というメリットはあるものの、匿名性を利用した犯罪が既に何件も発生しています。Roblox社も対策を進めていますが、それが100%になることはありません。企業としてRobloxを活用し若年層へリーチする際にも、「どのように安全性を確保するのか」「何か起きた時の対処はどう行うのか」といった点は必ず重要な論点として検討すべきでしょう。






