Robloxでも盛り上がりを見せる生成AI:主要機能を解説!
- 2024年9月27日
- 読了時間: 10分

Robloxは、ゲームやアイテムの制作を通じて収益を得られるプラットフォームです。その特徴として、ユーザーの大半が若年層であることが挙げられます。2023年第3四半期の統計によると、デイリーアクティブユーザー(DAU)7020万人のうち、13歳未満が2970万人と40%以上を占めています(Statista)。このような年齢層の分布や、制作エンジンであるRoblox Studioの使いやすさから、コンテンツを制作するディベロッパー側も比較的若い層が多いと考えられます。
Robloxの主要な収益源は、プラットフォーム専用の仮想通貨であるRobuxの販売です。2024年第2四半期の財務報告によると、実際に取引された額である「Revenue」が8億9,350万ドルであったのに対し、Robuxの販売により発生したがまだ使用されていない収益を含む「Bookings」は9億5,520万ドルでした。この差額は、購入されたが使用されていないRobuxを反映しています(Roblox)。
Robloxにとって、質の高いゲームやアイテムを制作してもらえる環境を整備することが非常に重要です。ユーザーがRobuxで購入するのは、ゲーム内のアイテムや有料ゲーム、アバターを装飾するアクセサリーなどです。つまり、ユーザーが作成するUGCアイテムの販売がRobloxのビジネスモデルの基盤となっているのです。
コンテンツ制作の質を向上させるため、Robloxは生成AIの活用に注目しています。生成AIを用いることで、制作プロセスをより容易かつ迅速にし、すべてのユーザーがクリエイターになれる環境を目指しています。Roblox社内でのプロトタイプ試験では、生成AIによって生産性が向上し、必要な技術的スキルが大幅に低減されることがわかっています。
Robloxは、プラットフォーム上のあらゆる活動にAIを活用する取り組みを推進しています。コンテンツ制作の支援だけでなく、ボイスチャットでの不適切な発言を監視するAIなども導入されています。現時点で、すでに250種類のAIモデルが様々な用途で活用されています(MIT Technology Review)。
AI-powered Code CompletionAI

生成AIを活用したコーディング支援ツール「AI-powered Code Completion」は2023年3月21日にベータ版が公開され、開発者のコーディング作業を効率化することを目的としています。
AI-powered Code Completionの特徴は、ユーザーがチャット形式でコメントを入力するだけで、それを実行するためのコードを自動的に提案してくれることです。この機能により、プログラミングの経験が浅い開発者でも、複雑な機能を比較的容易に実装できるようになりました。
ベータ版の公開から正式リリースまでの11か月間で、ユーザーは合計3億文字以上のAI生成コードをゲーム開発に採用しました(Roblox)。この数字は、本ツールが開発者コミュニティに広く受け入れられ、活用されていることを示しています。実際に、AIを活用した企業からは、数か月分に相当する作業量が削減できたとの報告もあります(The Bridge)。
AI-powered Code Completionを使用するには、Roblox Studio内のScriptエディタでアクティベーションコードを入力する必要があります。その後、コメント形式で実現したい機能を記述すると、AIがそれに対応するコードを提案します。ユーザーはTabキーを押すことで、提案されたコードを受け入れ、自動的に挿入することができます。
このツールの活用範囲は幅広く、オブジェクトの色を変更するような単純な操作から、ゲームオーバー条件の設定といった複雑な機能まで、様々なコードを生成することが可能です。これにより、開発者は創造的な作業により多くの時間を割り当てることができ、結果としてRoblox全体のコンテンツの質と量の向上につながることが期待されています。
Roblox Assistant

Roblox Assistantは、Roblox上でのクリエーションをあらゆる側面からサポートする生成AI機能です。この強力なツールは、コンテンツ制作の補助から既存作品の改善提案、さらには収益化戦略のアドバイスまで、幅広い支援を提供します。
Roblox Assistantの主な機能は以下の通りです:
オブジェクト生成:ユーザーの指示に基づいて、ワールド内に3Dオブジェクトを直接生成します。
スクリプト作成:ゲームの機能やロジックを実装するためのコードを自動生成します。
コード解説:既存のスクリプトの内容を分かりやすく説明します。
ゲーム分析と改善提案:制作したゲームのパフォーマンス向上や利用率アップのための具体的な改善案を提示します。
収益化アドバイス:ゲームの特性に応じた効果的な収益化方法を提案します。
2024年9月25日時点で、Roblox Assistantには公式リリースされたWeb版(Creator Hub版)と、Roblox Studio内で使用できるベータ版の2つが存在します。
Studio版の特筆すべき機能として、単純な指示に対する回答だけでなく、実際のワールド内でのオブジェクト生成まで行える点が挙げられます。例えば、「ボールを作って」という指示に対し、物理特性を持った球体をワールド上に直接生成します。この生成されたボールは重力の影響を受け、アバターとの相互作用も可能な、実用的なゲームオブジェクトとなります。
さらに、「そのボールに触れたらゲームオーバーになるようにして」といった複雑な指示も処理できて、リスポーン機能や視覚的なフィードバック(ボールが赤く変化するなど)を含むスクリプトを自動生成します。
現在、Roblox Assistantへの入力は日本語でも可能ですが、出力は主に英語で行われています。この言語面での制約は、今後のアップデートで改善される可能性があります。
Material Generator

Material Generatorを使えば、Roblox Studio内で3Dオブジェクトのマテリアルを簡単に生成することができます。
Material Generatorの主な特徴:
テキストによるマテリアル生成:ユーザーが望む質感をテキストで記述するだけで、AIが適切なマテリアルを生成します。
複数の選択肢:一度の生成で3〜4つの候補を提示し、ユーザーが最適なものを選べます。
直感的な操作:Roblox Studio内で簡単にアクセスでき、使いやすいインターフェースを提供します。
使用方法:
Roblox Studioの上部にある「モデル」タブを開きます。
「パーツ」セクション内の「素材」オプションを選択します。
画面左下の「生成」ボタンをクリックします。
表示されるチャットインターフェースで、希望する質感を文章で入力します。
2024年3月19日のベータ版公開以降、ユーザー体験(UX)の改善が行われました。主な改善点は以下の通りです:
チャット形式のインターフェース:入力したテキストと生成された画像が同時にチャット形式で表示されるようになりました。
履歴の視覚化:複数回テキストを入力すると、それぞれの入力と対応する生成画像が時系列で表示されます。
生成画像の個別削除:不要な生成画像を個別に削除できるようになり、候補の選別が容易になりました。
これらの改善により、ユーザーは自分の入力と生成結果の関係をより明確に把握でき、効率的に作業を進められるようになりました。また、不要な画像を削除して必要なものだけを残せるため、選択プロセスも簡略化されました。
Texture Generator

Texture Generatorは、Roblox Studio内で3Dモデルの外観を生成AIを用いて簡単に作成できるツールです。
主な特徴:
テキストによるテクスチャ生成:ユーザーが望む外観をテキストで記述するだけで、AIが適切なテクスチャを生成します。
立体的な3Dモデルに適している:平面的なマテリアルを生成するMaterial Generatorとは異なり、より複雑な立体構造を持つ3Dモデルに効果的です。
直感的な操作:モデルの特定の部分を強調して生成できるため、細かい調整が可能です。
使用方法:
Roblox Studioの左上にある「ファイル」タブを開きます。
「ベータ機能」を選択し、「テクスチャ生成」をオンにします。
モデルタブの「パーツ」セクション内に新たに表示される「テクスチャ生成」オプションを選択します。
使用したい3Dモデルを選択し、強調したい面を前面に向けます。
テキストボックスに希望する外観を英語で入力し、生成を開始します。
2024年9月25日時点では、ベータ版のみの提供となっています。また、日本語入力には対応していないため、英語でのテキスト入力が必要です。
Avatar Auto Setup

Avatar Auto Setupは、Roblox Studio上でアバターの設定を自動化する画期的なAIツールです。
主な機能:
外部アプリケーションからのアバター変換:他のソフトウェアで作成されたアバターモデルを、Robloxの仕様に合わせて自動的に変換します。
アニメーション対応:驚きなどの感情表現を含む各種アニメーションを使用できるように自動調整します。
表情制御:アバターの顔の表情を動かせるように設定します。
レイヤリング対応:重ね着が可能となるよう、アバターの構造を最適化します。
パーツ分割:身体を個別のパーツに分割し、カスタマイズ性を高めます。
アクセサリーポイントの設定:帽子や眼鏡などのアクセサリーを装着できる位置を自動で設定します。
ベータ版での拡張機能:
従来はゲーム内で使用するアバターのみを対象としていましたが、ベータ版ではMarketplace(Robloxの公式マーケットプレイス)に出品するアバターにも使用できるようになりました。これにより、クリエイターはより効率的にカスタムアバターを作成し、販売することが可能になりました。
Real-time Safety

Real-time Safetyは、Roblox上でのボイスチャットの安全性を確保するための機械学習モデルです。
主な特徴と機能:
リアルタイム監視:ボイスチャットをリアルタイムで監視し、ポリシー違反を即座に検知します。
段階的な警告システム:違反を検知すると、別のモデルがユーザーに警告を発します。違反が繰り返される場合、より厳しい対応が取られます。
高度な音声処理:ボイスチャットの音声データを分割し、テキストに変換します。変換されたテキストをポリシー違反の観点から分類し対応方針を決定します。
大規模処理能力:ピーク時には1秒あたり2000件以上の入力を処理できる高性能システムです。
導入効果:
違反行為の減少:音声によるポリシー違反が15%減少しました。
全体的な安全性向上:1分あたりの違反数が11.4%減少しています。
(Roblox)
Robloxは2023年9月19日に音声AIスタートアップのSpeechlyを買収しました。Speechlyは、ゲーム分野に特化した音声認識と自然言語理解の技術を持つ企業です。この買収により、より迅速に音声を認識し、処理することが可能になりました。また、ポリシー違反が発生した瞬間に警告を発することができるようになりました。
リアルタイム翻訳AI

監視のみならず、リアルタイムで翻訳を行うAIも登場しています。ユーザーは使用する言語に依らず、本来言葉が通じなかった他国のユーザーともコミュニケーションを取ることができるようになりました。導入から30日間でゲーム内でのチャット使用量が2倍に上昇しました(The Bridge)。
現時点では、開発者によって自動翻訳が設定されたゲーム内でのみ使用可能です。
現在開発中の生成AI機能
Robloxは、ゲーム開発とユーザー体験を向上させるための生成AI技術を継続的に研究・開発しています。
例えば、これまで個別の生成AIツールが行っていた処理を一つのAIで行うことができるAI、「4D Generative AI」を開発しています。例えば、レースゲームを作るとき、「車を動かすためにCode Assist」「車の外見はMaterial GeneratorやTexture Generator」といったように、必要な要素を異なるAI機能で作っていました。4D AIは、これらの要素を同時に生成するAIです。
Robloxは4D Generative AIの制作にあたり、アバターやオブジェクト、環境の相互作用を重要視しています。例えば、車が動くためには外見だけでなく、エンジンなどの部品やそれらの動き方を決めるリグの設定など、オブジェクトの相互作用が重要になります。それだけでなく、ユーザーが車に触れてドアを開く、岩にぶつかってクラッシュするなど、他のオブジェクトやユーザーとの相互作用がとれていなければ車を動かすことはできません。4D AIは、これらに対応できるように開発がすすめられています(Roblox)。
現在のAI assistantの機能をさらに拡張する生成AI、3D Foundational Modelも開発しています。これはユーザーが入力した状況をゲーム内に生成するAIです。現在使われているAI assistantはユーザーが求めるものに合致する既存のアセットを引っ張ってきているのに対し、3D Foundational Modelはゼロから生成できる点が異なります。
Robloxは3D Foundational Modelをオープンソースとして公開し、ゲーム業界全体で使用できるようにする予定です(PCMag.com)。
さらに、テキスト入力のみで3Dの環境を生成するAIも作る計画を発表しています。砂漠の中にレーストラックを生成する、昼を夜に変える、砂漠を森にするなどの大規模な生成に対応することができます(MIT Technology Review)。


