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日本企業でも増えている!Robloxで若年層へアプローチするマーケティング手法と事例

  • 2024年9月17日
  • 読了時間: 10分

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Roblox(ロブロックス)というオンラインプラットフォームが、近年日本企業のマーケティング戦略において注目を集めています。Robloxは、ユーザーが自由にゲームを作成し、他のユーザーと共有できる仮想空間を提供するサービスです。月間アクティブユーザー数は3億8000万人を超えており、これは「Fortnite(フォートナイト)」や「Minecraft(マインクラフト)」といった競合他社を大きく上回る数字です。


Robloxが企業のマーケティング活動で重宝され始めている理由の一つは、その独特なユーザー層にあります。2023年12月時点の統計によると、ユーザーの80%が24歳以下の若年層で占められています。特に、従来のマーケティング手法では接触が難しいとされるZ世代(1990年代中盤から2010年代前半生まれ)やα世代(2010年代中盤以降生まれ)へのアプローチに適しています(AMP)。


さらに、Robloxの特徴として、ユーザーが主体となってコンテンツを生成する「ユーザー生成コンテンツ(UGC)」の仕組みがあります。これにより、単なるゲームプラットフォームを超えて、SNSのような交流の場としての側面も持ち合わせています。企業はこの特性を活かし、ユーザーに深くブランドを理解してもらう「ファンマーケティング」の場としてRobloxを活用しています。


海外ではすでに、高級ファッションブランドのGucci(グッチ)やスポーツブランドのNIKE(ナイキ)などが、Roblox内で独自の仮想空間を展開し、ブランド体験を提供しています。日本でも2022年末にRobloxの現地法人が設立され、大手広告代理店を含む複数の企業とパートナーシップを結ぶなど、今後の展開が期待されています(4gamer)。


本記事では、日本企業がRobloxを活用したプロモーション事例を紹介し、この新しいマーケティングプラットフォームの可能性と効果的な活用方法について詳しく解説していきます。


サンリオ

My Hello Kitty Cafe

サンリオ株式会社は、2022年にRoblox上で「マイ・ハローキティ・カフェ」という独自のバーチャル空間をオープンしました。


「マイ・ハローキティ・カフェ」では、ユーザーがハローキティをはじめとするサンリオの人気キャラクターと一緒にカフェを経営することができます。プレイヤーは最初、キッチンカーから事業をスタートさせ、売上を伸ばしていくことで実店舗を開設できるようになります。ドリンクやお菓子を提供してお客様を満足させることで、最高評価である5つ星カフェを目指すという、ゲーム性と企業PRを巧みに融合させた内容となっています。


サンリオがRobloxを含むバーチャル空間でのマーケティングに注力する背景には、主に2つの理由があります。

1つ目は、サンリオの経営理念「みんななかよく」とバーチャル世界との親和性です。この理念は、デジタル空間における人々のつながりや交流を重視するバーチャルプラットフォームの特性と非常に相性が良いと考えられています。実際に、サンリオはRoblox以外にも、VRChatという仮想現実空間で「バーチャルサンリオピューロランド」を開設し、「サンリオVfes」というイベントを開催するなど、積極的にバーチャル空間を活用しています。

2つ目は、コンテンツの在り方の変化への対応です。サンリオは、現代のデジタル環境において、ユーザーとの共創や連携がますます重要になっていると認識しています。そのため、一方的な情報発信ではなく、ユーザーに「参加」してもらうことに重点を置いています。Robloxのようなプラットフォームでは、多くのクリエイターを巻き込み、ユーザーと一緒にコンテンツを作り上げていくことが可能です。


このようなアプローチは、単なる広告宣伝を超えて、ブランドとユーザーとの深い絆を築くことを目指す「ファンマーケティング」の好例と言えるでしょう。

Honda

Honda Rewired

Honda Power Productsは、2023年3月からRoblox上で「Honda Rewired」というワールドを展開しています。


「Honda Rewired」では、ユーザーがHonda Power Productsの製品を体験することができます。プレイヤーは電動パワーユニットや耕うん機など8種類のパワープロダクツ製品を使用して、ワールドの住民が抱える問題を解決していきます。例えば、庭師から葉っぱの掃除を頼まれた際に、適切な製品を選んで作業を行うといった具合です。ミッション完了時には、この世界独自の特別な機能が解放されるなど、ゲーム性も充実しています。


さらに、Honda Power Productsは「Honda Rewired」コンテストも実施しており、Roblox上でゲームを制作・公開するクリエイターたちの参加を促しています。


Honda Power ProductsがRobloxを活用した理由は主に2つあります:

1. 若い世代に「誰かの役に立つことの喜び」を体験してもらうこと:

Honda Power Productsは、自社製品の使用を通じて、他者を助ける喜びを若い世代に伝えたいと考えています。この体験を通じて、結果的にパワープロダクツ製品について知ってもらうことを目指しています。


2. バーチャル体験の重要性に対する認識:

若年層にとって、バーチャル空間での体験や経験が現実世界と同等の価値を持つという仮説に基づいています。この世代に効果的にアプローチするには、彼らが日常的に利用するプラットフォームでの展開が不可欠だと考えられています。


Honda Power Productsの担当者によれば、「誰かの役に立ちたい」という思いを実現するには、ユーザーとの共創やユーザー間のコミュニケーションが重要です。そのため、単なるゲームプラットフォームではなく、ユーザー同士の交流や創造性を促進するRobloxが最適なプラットフォームとして選ばれました。


タカラトミー

Beyblade Park

タカラトミーは、2023年にRobloxプラットフォーム上で「BEYBLADE PARK」を公開しました。


BEYBLADE PARKは、国籍や言語、年齢、性別を問わず、世界中の人々が一緒に楽しめるワールドとして設計されています。特筆すべきは、ベイブレードの既存ファンだけでなく、この製品を知らない人々にもその魅力を伝えることを目指している点です。

このワールド内では、多彩なゲーム体験が用意されています。例えば、ベイブレードに乗って巨大ロボットとのシューティングバトルに挑戦したり、ベイブレードを使用したボーリングゲームを楽しんだりすることができます。さらに、プレイヤー自身がベイブレードとなって対戦相手に体当たりするという、現実世界では体験できない斬新なゲームモードも用意されています。


コンテンツの充実度も特筆に値します。Robloxのクリエイターコミュニティによって制作された作品と、タカラトミーが開発した公式ゲームを合わせて、計17種類のゲームが楽しめます。また、ワールド内の案内役として、公式キャラクターの「BEYBO」が登場し、ユーザーの没入感を高めています。

さらに、タカラトミーは将来的な展開も視野に入れています。ワールド内で遊べる「ベイブレードガチャ」の実装や、最新シリーズ「BEYBLADE X」の3Dモデル展示など、継続的にコンテンツを拡充する計画を立てています。


志摩スペイン村

パルケエスパーニャ

2022年冬、日本の観光業界において画期的な取り組みが行われました。三重県志摩市にある「志摩スペイン村」のテーマパーク「パルケエスパーニャ」が、Roblox上に公式ワールドを公開したのです。これは、日本の観光施設として初めての試みでした。


Roblox上の志摩スペイン村ワールドは、実際のテーマパークを忠実に再現しつつ、独自のゲーム体験を提供しています。そこでは、スペインの伝統的な祭り「牛追い祭り」と「トマト祭り」をモチーフにしたゲームが楽しめます。ゲームのルールは非常にシンプルで、プレイヤーは次々とフィールドに現れる牛から可能な限り長く逃げ続けることが目標です。トマトを唯一の武器として使用することができ、牛に投げつけることで逃走時間を延ばすことができます。


志摩スペイン村は、主要都市からのアクセスが比較的困難な場所に位置しているため、物理的な訪問が難しい人々にも体験の機会を提供することを目指しています。

さらに、この取り組みは単なる認知度向上策に留まらず、将来を見据えた複数の目的を持っています。一つは、日本国内だけでなく、世界中のZ世代(1990年代中盤から2010年代前半生まれ)やα世代(2010年代中盤以降生まれ)に向けて認知度を高めることです。これにより、実際の志摩スペイン村や、それが位置する三重県、さらには関西地方への訪問を促進することを狙っています。

また、この取り組みは新型コロナウイルス感染症の流行後を見据えた、訪日外国人観光客(インバウンド)誘致戦略の一環でもあります。Robloxという世界的に人気のあるプラットフォームを活用することで、潜在的な海外からの観光客に対して、事前に施設の魅力を伝える効果が期待されています。


吉本興業

FANY X Lab on Roblox

2023年5月、吉本興業ホールディングスの子会社である株式会社FANYと、吉本興業ホールディングスと電通グループの合弁会社である株式会社YDCが、Roblox上に「FANY X Lab on Roblox」を開設しました。この取り組みは、伝統的なエンターテインメント企業がデジタル空間での新たな可能性を追求する先進的な事例として注目を集めています。


「FANY X Lab on Roblox」の主要なテーマは、「次世代のおもしろい」を探求し、拡張していくことです。

特に注目を集めているのは、人気芸人とコラボレーションしたゲームコンテンツです。例えば、「ダイアン落とし」というゲームでは、プレイヤーが落とし穴を作成し、お笑いコンビ「ダイアン」のキャラクターを落とすという、ユニークな内容になっています。また、「無限ジョイマン」では、プレイヤーがお笑いコンビ「ジョイマン」をモチーフにしたキャラクターを操作し、無限に続くフロアを登っていくという、シンプルながら中毒性のある内容となっています。これらのゲームは、日本のお笑い文化とデジタルゲームの融合という新しい試みとして評価されています。


バンダイナムコ

Pac Man Simulator

バンダイナムコエンターテインメントは、デジタルエンターテインメント企業のSupersocialと協力し、世界的に有名なゲームキャラクター「パックマン」をRoblox上に導入しました。


「PAC-MANシミュレーター」では、プレイヤーはパックマンをペットのように連れて冒険します。ゲーム内では、様々なエリアを探索しながらアイテムを収集したり、ミニゲームに挑戦したりすることができます。これらのアクティビティを通じて、パックマンの能力を強化していきます。


バンダイナムコがこの取り組みを行った主な目的は、パックマンを通じて世代を超えたつながりを創出することです。パックマンは1980年の登場以来、40年以上にわたってゲーム業界の最前線で活躍してきたキャラクターです。そのため、かつてパックマンをプレイしていた親世代と、現在Robloxを楽しむ子供世代との間の架け橋となる可能性を秘めています。


この戦略には複数の利点があります。まず、家族全員でRoblox上のパックマンを楽しむことで、世代間のコミュニケーションの機会が増加します。親世代にとっては懐かしいキャラクターとの再会であり、子供世代にとっては新鮮なゲーム体験となります。


さらに、この取り組みはパックマンというブランドの継続的な成長と進化を示しています。伝統的なアーケードゲームから始まり、様々なプラットフォームに展開してきたパックマンが、最新のゲームプラットフォームであるRobloxに登場することで、その適応力と持続可能性を証明しています。


SEGA

ソニックスピードシミュレーター

SEGAは2022年4月、Roblox上で「ソニックスピードシミュレーター」を公開しました。本作の開発には、大手ゲームデベロッパー兼パブリッシャーのGamefamが携わっています。


「ソニックスピードシミュレーター」は、ソニックシリーズの基本的な楽しさを忠実に再現しつつ、Robloxの特性を活かしたゲーム体験を提供しています。プレイヤーは、シリーズおなじみのコイン収集や障害物回避といった要素を楽しみながら、徐々にスピードを上げていくことができます。ゲーム内には、ソニックの仲間であるテイルスやナックルズといった人気キャラクターも登場し、ファンの期待に応える内容となっています。


SEGAの戦略で特筆すべきは、「ソニックスピードシミュレーター」の展開を映画公開と連動させた点です。2022年8月に日本で公開された新作映画「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」に合わせて、Roblox上のゲームの日本語版の提供を開始しました。この戦略は大きな成功を収め、日本は「ソニックスピードシミュレーター」のユーザー数を最も伸ばした国となりました。


東京都

HELLO! TOKYO FRIENDS


2024年2月、東京都と東京観光財団は、Roblox上に「HELLO! TOKYO FRIENDS」という交流プラットフォームを公開しました。


「HELLO! TOKYO FRIENDS」は、「東京に友だちをつくろう」というテーマのもと、メタバースやARを駆使して、東京のファンを世界中で増やすことを主な目的としています。このプラットフォームは、単なる観光情報の提供にとどまらず、ユーザー同士の交流を促進し、東京への親しみを深める仕組みを取り入れています。


東京の街を舞台にした「トレジャーハント」では、ユーザーが他のプレイヤーと協力しながらミッションをクリアしていきます。この過程で、東京の様々な名所や文化的特徴に触れることができ、楽しみながら東京への理解を深められるようになっています。

また、お寿司に関するクイズサバイバルゲームなど、日本の食文化を題材にしたミニゲームも用意されています。これらの要素は、日本文化の一端を体験的に学べる機会を提供し、海外のユーザーにとって東京や日本への興味を喚起する効果が期待されています。

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