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6月から子どものRobloxが変わる——Kids・Selectアカウントと学習ハブが保護者と教師に問いかけること

  • 5月18日
  • 読了時間: 6分

Robloxで毎日遊ぶ子どものアカウントが、2026年6月から年齢によって自動的に振り分けられる。5〜8歳向けの「Roblox Kids」と9〜15歳向けの「Roblox Select」という2種類の新アカウントが登場し、ゲームのラインナップ・コミュニケーション設定・ペアレンタルコントロールが年齢層に合わせて根本的に再設計される。背景には146件を超えるRobloxへの集団訴訟と複数の州司法長官による提訴があり、Roblox自身が「デザインによる安全(safety by design)」と呼ぶアーキテクチャの転換でもある。一方で、2025年7月にローンチされた「Learning Hub」はBBC・Google・Sesame Workshopといった教育機関と組み、学習コンテンツの充実が急速に進んでいる。6月の変更で具体的に何が変わるのか、親が今すぐ設定すべきことは何か、そして教育現場でRobloxがどう使われているのかを整理する。



5〜8歳専用の「Roblox Kids」——チャット全オフから始まる設計


6月から5〜8歳のユーザーは自動的に「Roblox Kids」アカウントへと移行する。このアカウントでアクセスできるのは、Roblox公式の発表によると、コンテンツ成熟度ラベルで「Minimal(最小限)」または「Mild(マイルド)」に分類され、かつ三段階の選別プロセスを通過したゲームのみだ。センシティブな話題を含むゲーム、ソーシャルハングアウト型のゲーム、フリーフォーム描画ゲームはデフォルトで除外される。

コミュニケーション機能はすべてデフォルトオフになる。チャット、DM、ボイスは初期状態では使えない。子どもがフレンドとやりとりしたい場合、保護者がRoblox親アカウントを作成・連携し、明示的に許可する必要がある。アプリの背景色も通常アカウントと異なるデザインになり、親がどのアカウントタイプを使っているかを画面を見ただけで確認できる仕組みだ。年齢の判定は、Robloxが2026年初頭から導入した顔年齢推定(facial age estimation)か、認証済み保護者による直接設定で行われる。顔認証は誤判定が報告されており、Roblox側は継続的に精度を改善するとしている。Robloxによれば世界のDAUの50%以上、米国では65%以上がすでに年齢確認を完了しているが、未確認のユーザーも6月以降は自動的にMinimal/Mildゲームのみに制限される。

▲ Roblox Kidsは5〜8歳、Selectは9〜15歳に自動振り分け。16歳到達で通常アカウントに移行する



9〜15歳の「Roblox Select」——三段階評価と国際レーティング移行


9〜15歳のユーザーは「Roblox Select」アカウントに振り分けられる。アクセスできるゲームはModerate(中程度)以下のコンテンツ成熟度ラベルを持ち、同じく三段階の選別プロセスを通過したものに限られる。Roblox Kidsに比べてカタログは広くなるが、現行の「すべてのゲームに自由アクセスできる」環境からは制限される。Robloxは「年齢確認済みの16歳未満ユーザーは、ほぼすべてのお気に入りゲームにアクセスできる」と説明しているが、三段階評価を通過できなかったゲームは対象外になる。

この三段階評価はクリエイター側にも要件を課す。ゲームをKids/Selectカタログに掲載するには、ID認証・2段階認証の有効化・Roblox Plusへの加入が必要だ。加えて、16歳以上のプレイ動向とユーザー報告をリアルタイムでモニタリングし、未成年向けの適切性を継続評価する仕組みが入る。2026年後半には、IARC(International Age Rating Coalition)フレームワークへの移行も予定されている。これは米国ではESRB、欧州ではPEGIといった地域ごとの年齢レーティング基準で、コンソールやPCゲームで親が見慣れた形式での年齢ガイドが整備される。

▲ 6月のアカウント変更の概要。Roblox KidsとSelectの2層構造に子ども向け体験が再設計される



親が6月前に設定しておくべきこと


アカウント変更は6月に自動で行われるが、保護者側の準備は今から始められる。まず「親アカウントの連携」が最初のステップになる。子どもがRobloxを使っているなら、まだ連携していない場合はすぐに設定しておきたい。この連携がなければ6月以降に追加されるペアレンタルコントロールの多くは機能しない。連携が完了すれば、子どもが毎日どのゲームで何時間プレイしているかが親のダッシュボードから確認できる。月額ロバックス上限とスクリーンタイム制限は現在でも設定できる機能で、6月を待たなくても今すぐ適用できる。

6月から新たに加わる機能の中で特に重要なのが「ゲーム個別承認(granular game approval)」だ。子どもがデフォルトカタログに含まれないゲームへのアクセスを望む場合、保護者が個別にそのゲームを承認できる。逆に「ゲーム個別ブロック」は15歳まで延長され、特定ゲームを親の判断でカタログから除外できる。9〜15歳のSelect世代は、デフォルトのコミュニケーション設定が変わらない点にも注意が必要だ。Kinzooのレポートによれば、最も手厚い保護はKids世代(5〜8歳)に当たるが、9〜15歳はチャット機能がデフォルトで有効なままになる。この世代を持つ保護者は「チャット管理(direct chat settings)」の設定を能動的に確認・調整しておく必要がある。さらにKinzooは「課金の見落としが起きやすい」として、月額Robux上限の設定を推奨している。

▲ 2026年4月に拡張された「Trusted Friends(信頼できるフレンド)」機能。保護者が子どものフレンドリストを管理できる



Learning Hub——BBC・Google・Sesame Workshopが作る授業の実像


安全・制限の議論とは別のレイヤーで、Robloxは2025年7月に「Learning Hub」を正式ローンチした。Roblox公式の発表によると、BBCのBitesize、Google、Sesame Workshop(セサミワークショップ)、ボストン科学博物館(Museum of Science)、Project Lead the Wayといった教育機関とのパートナーシップのもと、コンピューターサイエンス・数学・デジタルリテラシー・環境問題を扱う体験型コンテンツを集積するハブとして機能している。ローンチから約7か月で累計訪問者は5,000万人近くに達したとされる。

コンテンツの幅は広い。Googleが提供する「Be Internet Awesome World」はフィッシング詐欺の識別や強力なパスワードの作成を子どもに教える。Project Lead the Wayと共同開発した「Pathogen Patrol」は人体の免疫システムを3Dで体感できる仕組みで、K-12教育向けに設計されている。BBCのPlanet Plannersは環境科学と都市管理の意思決定を11〜14歳向けに体験させる教育ゲームだ。「Ecos: La Brea」では生態系の変化を数千年単位でシミュレートできる。いずれも「遊んでいたら学んでいた」という設計で、従来のe-ラーニングとは異なるアプローチを取っている。Roblox教育部門のHead、Rebecca Kantarが掲げる目標は「2030年代末までに1億人の学生へのリーチ」だ。米国ではサマーキャンプや放課後プログラムでの活用が拡大しており、学校外教育でのRoblox活用が本格化してきた。

▲ Roblox Learning Hub。BBC・Google・Sesame Workshopなど教育機関のコンテンツを1か所に集約する



日本の保護者・教師への示唆


日本では2020年から小学校でのプログラミング教育が必修となった。国内のコーディング教育市場は2022年時点で年間約199億円規模に達しており、2030年に向けて継続的な成長が見込まれている。この文脈でRoblox Studioを使ったLuau言語プログラミングの授業が注目されており、学童・放課後クラブ・オンラインスクールでの活用事例が増えつつある。

6月のアカウント変更が日本の利用環境に与える影響を考えると、まずRoblox Kidsアカウントに振り分けられる5〜8歳のユーザーは、保護者アカウントと連携していない限りコミュニケーション機能が完全に停止する。Roblox内でのフレンドとのやりとりを前提にした使い方は再考が必要になる。一方、Learning Hubのコンテンツは日本語対応が限定的だが、英語学習のツールとして使えるコンテンツも存在する。BBCのPlanet Plannersのような環境・地理教育コンテンツは、理科や社会の授業補助として使えるポテンシャルを持つ。IARCレーティングへの移行は、日本でもCEROなどのゲームレーティングに慣れた保護者にとって安心して使える判断材料になる可能性がある。6月は変化の起点だが、IARC移行まで含めて「段階的に進む」変化として理解しておくと、日本の保護者が取れるアクションも明確になる。

▲ Learning Hubで提供される「Words of Power」。語彙力を競うゲーム型学習コンテンツで英語学習にも活用できる


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