Robloxのマーケットプレイス:成長と進化するUGC経済システム
- 2024年9月21日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年9月26日
Robloxの最大の特徴は、個人が容易にゲームを制作し公開できるだけでなく、そのゲームから収益を得られる点にあります。その成長ぶりは、Robloxがゲームクリエイターに支払った金額の推移からも明らかです。2018年には約7100万ドルだった支払額が、2024年には約7億4000万ドルにまで増加し、わずか6年で10倍以上の伸びを示しています(Statista)。
Robloxの特筆すべき点は、アクティブユーザーの増加だけでなく、ゲームクリエイターも急増していることです。2023年6月の公式発表によると、Roblox上でゲームを開発した人は1050万人に達し、作成されたゲームの数は2900万を超えています(Roblox)。
Robloxでの収益モデルは多岐にわたります。ゲーム内でのアイテムやグッズの販売、ゲームパス、ゲーム内広告の掲載などが主な方法です。それ以外に、「Marketplace」と呼ばれる、アバターやアクセサリー、衣服などのアイテムを販売して収益を得ることもできます。現在、年齢制限なくすべてのユーザーがMarketplaceでアイテムを購入できるため、この仕組みを通じて収益を上げているクリエイターも多いと推測されます。2023年12月末時点で、Roblox上で何らかの方法で収益を得たクリエイターは2500万人に上ると発表されています(Roblox)。
Robloxは今後、さらなる収益化の機会を提供する予定です。2024年9月に開催された第10回Roblox開発者会議(RDC)では、従来ゲーム内取引で使われていたRobuxに加え、限定的に法定通貨も使用できるようにする計画が発表されました。有料ゲームを法定通貨で販売できるようになり、その還元率は50%〜70%に設定される予定です。この新機能は今年中にデスクトップ版で利用可能になる見込みで、実現すれば新たな収益化の手段として期待されています(The Roblox Times)。
Marketplaceの利用条件
Marketplaceは、ユーザーが自作のアイテムを販売できる場として機能していますが、その利用には厳格なルールが設けられています。これらのルールは、販売者となるユーザーと、販売されるアイテム双方に適用されます。
まず、マーケットプレイスで販売を行うユーザーには、厳しい条件が課されています。販売者になるためには、本人確認(ID認証)を経たうえで、Robloxのプレミアムメンバーシップに加入する必要があります。このメンバーシップは月額制の有料サービスで、特典としてRoblox内専用通貨であるRobuxが毎月付与されます。メンバーシップには450、1000、2000の3つのコースがありますが、マーケットプレイスでの出品・販売権限は1000と2000のコースにのみ与えられています。
販売されるアイテムに関しても、厳密なポリシーが適用されます。一般的な制約として、性的表現や政治・宗教・薬物を想起させる内容、知的財産権の侵害などが禁止されています。加えて、Roblox特有の規則として、既存アイテムとの類似していないことや、アバターの大部分が隠れていないことなどが定められています。
マーケットプレイスへの出品には、手数料と前金の支払いが必要です。手数料は750Robuxで固定されていますが、前金はアイテムの種類や販売方法によって変動します。通常のアイテムであれば1000〜1700Robux、アバターのボディ部分は4000Robuxが必要となります。この前金は、商品が売れた際に返還される仕組みで、不人気商品をマーケットから排除する役割を果たしています。
特筆すべきは限定品の取り扱いです。Roblox上で数量が制限されているアイテムを出品する場合、13000〜20000Robuxという高額の前金が必要になります。これらの限定品は、所有者による再販も可能で、その際には原作者に10%のインセンティブが支払われる仕組みになっています。
収益配分に関しては、マーケットプレイスでアイテムが販売された場合、売上の30%が作成者の報酬となります。さらに、マーケットプレイス以外のゲーム内で販売された場合には、ゲーム作成者にも40%の収益が配分されます。
(Roblox)
販売できる商品
Robloxのマーケットプレイスで販売される商品は、アクセサリー、衣服、アバターの3カテゴリーに分類されます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
アクセサリーは、ユーザーのアバターに装着できる3Dアイテムです。これらは、アバター上で作成者が指定した場所に取り付けることができます。アクセサリーは、形状、表面のテクスチャ、アバターとの接続部分という3つの要素から構成されており、最も基本的なカスタマイズアイテムとして位置づけられています。マーケットプレイスでは、バッグやネックレス、眼鏡といった現実世界にも存在するアイテムのほか、剣などの武器もアクセサリーとして多く取り扱われています。
衣服は、アバターに着用させることができるアイテムです。アクセサリーとは異なり、衣服はアバターの体型に合わせて形状が変化するという特徴があります。アクセサリーと同様、形状や表面のテクスチャに加え、キャラクターの動きに追従するための設定も含まれています。マーケットプレイスでは、シャツやパンツ、ジャケットなどの一般的な衣服から、動物の着ぐるみのような特殊なものまで、幅広い種類の衣服が販売されています。
アバターは、Roblox内でユーザーが操作する自身の分身です。アクセサリーや衣服を装着する側として機能します。そのため、アクセサリーや衣服を取り付けられる箇所などの設定が必要になります。さらに、表情データや動きを制御するための骨格設定なども含まれています。マーケットプレイスでは、Robloxの初期アバターに近い頭身のものから、より人間に近い体型のもの、さらには動物を模した人体とはかけ離れたデザインのものまで、多種多様なアバターが販売されています。 (2024年9月26日追記) ボディとヘッドの限定版を販売できるようになりました。また、これまで限定版アバターにのみ対応していた「ワールド内でのみ販売する」というオプションが、非限定版アバターでも選択できるようになりました。
Marketplace機能の変遷と、今後の開発予定
Marketplaceは、2019年にUGCプログラムという形で、特定のユーザーに限定して開始されました。それ以来、急速な成長を遂げています。2023年は、第3四半期までの9ヶ月間で16億のアイテムが購入されました。
代表的なマーケットプレイスクリエイターは、WhoseTradeです。WhoseTradeは、10万回以上売れたアイテムを20個(少なくとも5万回以上売れたものは数十個)送り出してきました。エレクトロニック・ミュージック・ブランドのMonstercatとコラボし、100万Robuxで売れた限定アイテムも制作しています。
この流れは、企業にまで波及しています。2023年には、ブランドが関与したアイテムの販売数が2700万個に達しました。アディダスなどの大手ブランドがRoblox内にグループを作成し、マーケットプレイスで商品を販売するなど、企業の参入が活発化しています。Lirnというマーケットプレイスクリエイターは、Gucci などのブランドとコラボレーションし、HeadScarf、Bantu Knots 、 Pigtails Locs、Box Braidsなどのアイテムを作成しました。彼女のアイテムは、これまでに何百万個も販売されています。
2024年4月15日には、一般ユーザーにも販売権利が開放されました。この権利解放後、市場はさらなる成長を遂げています。4月15日から6月30日までの期間を前年同期と比較すると、制作された3Dアバター数が22%増加しました。また、新たに4800人のクリエイターが参入し、4月に新規参入したクリエイターによる6月の売上が、クリエイター総収益の8%を占めるまでに成長しました。6月のクリエイターの総収入は前年同月比で61%増加し、月に50000Robuxを稼いだアカウント数は81%も増加しました。
Robloxは、マーケットプレイスでアイテムを販売しやすくなる環境を整えるために、あらゆる施策を講じています。例えば、2024年5月にリリースされたアバター自動セットアップツールを使えば、3D モデルを Roblox ですぐに使用できるアバターに自動的に変換することができます。これにより、アバターの作成にかかる時間を数日から数分に短縮できます。また、3月には自分のコンテンツやIPを管理しやすくなるライツマネージャー機能も導入され、自分の権利が侵害された時は、削除要請を出しやすくなりました。さらに、需要に基づいてアイテムカテゴリの最低価格が自動設定されるダイナミックプライシングシステムも導入されています。これにより、クリエイターは公正な収益を得られ、消費者も公正な市場価格でアイテムを購入することができるようになります。
2025年には、個々のアイテムだけでなく、既にスタイリングされたアバターや服装から、その一部だけを購入することもできるようになる予定です。それはまるで、現実世界のアパレルショップで、マネキンが着ている服を見て購入を決めるような体験です。また、ユーザーが特定のアイテムを見つけると、それが自分のアバターやアイテムとどう合わさるのか、擬似試着をすることもできるようになります。それだけでなく、ショップを訪れたユーザー別にパーソナライズされたアイテムを表示する機能も開発されています。購入したあとは、そのアバターやアイテムを他のユーザーと共有(貸し借り)することができるようになる予定です。








